令和3年度3学期終業式 校長訓示
テーマ「戦争のない未来を創るためには」
みなさん、こんにちは。今日で3学期も終わりです。そして、令和3年度も残すところあとわずかになりました。今日の午前中は中等部の卒業式でした。中等部3年生の式に臨む姿勢は、凛とした雰囲気を纏い、とても素晴らしいものでした。また、3月1日には高校の卒業式が行われました。自信と達成感に満ち溢れた高校3年生の姿からは、6年間あるいは3年間の学校生活がとても充実していた様子が伺えました。
皆さんは今年度を振り返って、いまどんな気持ちでいますか。年度当初に立てた目標は達成できたでしょうか。私は皆さんが授業や部活動、南陵祭や体育祭などの学校行事に一生懸命取り組んでいたと思います。まずは、今年度の皆さんの頑張りを称えたいと思います。また、熱心に指導してくださった先生方にも感謝します。それから、この場を借りて一年間校長室掃除を担当してくれた24HRの生徒にお礼を言います。ありがとうございました。
さて、中国の北京で開催されていた冬季パラリンピック大会は、3月13日に幕を閉じました。「平和の祭典」と位置付けられるオリンピックとは違い、パラリンピックは「勇気」「強い意志」「インスピレーション」「公平」という4つの価値を重視し、インクルーシブな社会への変革を訴える大会です。お互いの違いを認め合い、共に生きていくこと、「多様性」や「共生」が大会理念になります。
一方で、パラリンピックが開催されている同時期に、ロシアによるウクライナ侵攻が始まりました。2月下旬、ロシアのプーチン大統領はウクライナへの軍事作戦実施を宣言し、ウクライナ各地への砲撃や空襲が始まりました。ウクライナのゼレンスキー大統領は戒厳令を布いて、戦争状態に入りました。新聞報道によれば、これまで民間人を含む多くの人が命を落としています。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった時、日本ではあるグループの17年も前にリリースされた歌がヒットチャートの上位に躍り出ました。まずは、その歌をお聞きください。
~SMAPの『Triangle』を流す~
この曲はSMAPの『Triangle』という曲です。SMAPは2016年に解散していますし、この曲は2005年11月にリリースされた曲です。再び注目を浴びたのは、歌詞に反戦への思いが込められているからです。
作詞・作曲を手掛けたのは、音楽家の市川喜康(いちかわよしやす)さんです。市川さんはニューヨークでの同時多発テロ事件の後、「テロとの戦い」が続いていたアフガニスタンの状況を見て、何か伝えなくてはと思い、この曲を作ったとインタビューで述べています。「Triangle」とは三角形のこと。この曲では「銃を構える人」、「向けられる人」、そして「それを見ている自分」の三者による三角関係だと述べています。
私たちにできることは限られているかもしれませんが、傍観者にはなりたくありません。歌詞にあるように、破壊でしか見いだせない未来を私たちは望んでいませんし、大国のヒーローも戦火の少女も命の重さは同じだと知っています。私は皆さんが日々の生活の中で、それぞれの違いを認め合い、いじめや差別などをなくし、自分の命や友達の命を大切にすること、みんなが希望を持って生きていくこと、その積み重ねが戦争のない未来につながっていくと信じています。
それでは、新年度、皆さんの元気な顔に会えることを楽しみに、私の3学期終業式の言葉を終わります。