令和4年1月6日
3学期始業式 校長訓示 テーマ「みんな違って当たり前」
みなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今日から3学期が始まります。新年、そして新学期を迎えて、新たな気持ちで登校できたでしょうか。昨年も様々な出来事があったかと思います。心機一転、嫌なことはもう忘れて、新年のスタートを切りましょう。明るく、前向きに生きていれば、助けてくれる人も現れて、道は拓けるものです。
まずは、新型コロナウイルス感染症対策についてお話しします。3学期も、これまでの感染防止対策に大きな変更はありません。我々全員が「自分の身は自分で守る」という心構えを持つことが大切です。私から皆さんにお願いすることは、これまでと変わらず3つのことです。1つ目は「新型コロナウイルス感染症を正しく理解すること」、2つ目は手指消毒、マスクの着用、黙食、3密の回避など、「これまでの感染症対策を徹底すること」、3つ目は「孤立しないこと」です。学校生活が継続できるようにしっかりと心がけてほしいと思います。
さて、清水南高校・同中等部は今年度(令和3年度)、静岡県教育委員会からアカデミック・ハイスクールに指定されています。テーマは「SPACと連携した演劇科の設置に向けたカリキュラム研究」です。具体的には、高校普通科、高校芸術科、中等部のそれぞれにおいて、SPACを含めた外部機関等と連携して、皆さんの表現力、思考力、対話力の育成を目指しています。
現在の進捗状況をお話しすると、昨年11月には、SPACと連携協力協定書を締結しました。メディアにも取り上げられたので、覚えている生徒もいることでしょう。締結式には、中等部3年生の下山さん、伏見さん、竹内さんも参加してくれました。まずは、清水南高校中等部が誇る「表現」の授業にSPACの俳優さんや技術スタッフさんが指導に来てくれるようになりました。来年度はこのような取組を高校でも進めていきたいと考えています。
協定書の締結式の際に、宮城監督がおっしゃっていたことで私が感銘を受けた言葉を紹介します。それは、「人と違うことを考えるのは素晴らしいこと」という言葉です。監督は「学校生活の中で、他人が考えていないことを考えると、周りから浮いていると言われがちだけど、そのことを面白いと受け入れる空気が大切だ」とおっしゃいました。また、「違っていることを受け入れた上で、それをどう楽しむかということが演劇のテクニック」と述べています。
人は皆、顔も性格も育ってきた環境も違います(そんな歌詞がSPACではなく、SMAPの曲にあったかもしれませんね)。みんな違って当たり前で、誰かに似せようとする必要はありません。自分は自分、唯一オンリーワンの存在なのです(これもSMAPの曲でありましたね)。大切なことは、みんな違うということを理解した上で、自分以外の人を受け入れること。つまり、この地球上で一緒に生きていくためにわかり合おうと努力することだと思います。
ここから少し難しい話になるかもしれません。中等部の1年生はわからなかったら後で担任の先生に聞いてくださいね。私は人がわかり合うためには、「合意形成」する気持ちが大切だと考えています。人は違って当たり前、それぞれ考え方も違うのだから、意見がぶつかり合うこともあります。その時に、自分の意見だけ言って相手の意見を聞かなかったり、議論した挙句、人間関係を壊したりするのではなく、お互いに歩み寄って意見をすり合わせようと努力すること。つまり、「合意形成」を前提として人と接することが、人が社会で一緒に生きていくためには重要だと思うのです。人と違っていても受け入れてくれる社会や学校であれば、みんな安心して生活しやすくなると思います。宮城監督は演劇を学ぶことによって、そのような心が育つのだとおっしゃっていました。
コロナ過で私は改めてイノベーションの大切さを痛感しました。ウイルスとの戦いを一つ取っても、新たな薬や新たなワクチンを開発するためには、従来の常識を打ち破るような、人と違った発想力を持つ科学者の存在が求められているはずです。高い知性に加えて、独自の感性を持った人こそが、様々な分野においてイノベーションを牽引する人材になると私は思います。人と違っていることを否定するような社会、あるいは学校では、新たな価値を創造し、イノベーションを牽引する人材、人類の未来を切り拓く人材は育たないのではないかと思うのです。
私はこの学校を生徒の皆さんが自分自身を大切にし、お互いを認め合い、何でも本音で語り合えて、安心して過ごせる学校にしたいと考えます。みんな違って当たり前なんだから、多様性を受け入れた上で、合意形成に努めてほしいと願っています。今年1年、みなさんがこれまで以上に友達や先生方との絆を深めて、安心して学校生活を過ごしてくれることを願って、私の3学期始業式の話を終わります。